笠井 浩
経営者として。

春日部で働く経営者としての日々

「先人の凄み」を見て、学ぶこと

4月の大きな地震で、一部が崩れ落ちた熊本城の現在を目にするたび、
世界に誇れるあの美しい建造物を思い出し、心に掻き傷をつけられたような気分になります。
建築の技術や計算法が進んだ現代の建築家たちがたずさわっても、
完全に復元するためには、数十年を要するとのこと。
5月の半ば、お取引いただいている会社の研修旅行に同行させていただける機会があり、
兵庫と京都へ行ってきました。建設関係の会社の研修旅行でしたから、
主に観てまわったのは、「いにしえのクリエーター」たちの作品である古式ゆかしい建造物。
世界遺産にも登録されている姫路城は、その美しさと偉容に圧倒されました。
このお城は、「明治の大修理」と言われた大掛かりな保存修繕が国によって行われたそうで、
明治の職人たちの「遺そうとする技」が随所に見られて、感動しました。
神戸の北野異人館では、街並の空気をも変えてしまう整然とした美しさに感じ入りました。
戦争を乗り越え、震災にも耐え(一部崩壊した建物は美しく復元されていました)、
凛としてそこにありました。
何度目かの訪問になる京都の清水寺では、やはり、
「こんなところに、こんなに美しく複雑な建物を、どうやって?」
という想いが頭から離れませんでした。
どの建造物もそれだけ、綿密な設計がなされ、随所に職人ならではの
細やかな工夫がなされていたということです。
コンピューターも、大型建設機械も、電機工具もない時代に。
「何もないところから“何か”を生み出す」のがクリエーターだとするなら、
「何でもある」時代の我々が、先人たちに学ばなければいけないことは、
まだまだ無限にあるんだな。
そんなことを思い知らされた小旅行でした。

 

姫路城は、1346年(南朝:正平元年、
北朝:貞和2年)の赤松貞範による
築城とする説が有力。
1878年(明治11年)に「明治の大修理」、
1935年(昭和10年)に「昭和の大修理」が行われて、現在に至る。

 

北野異人館街は、山本通に、明治中期に
建てられた約40棟の外国人住宅街。
神戸市西部のジェームス山と呼ばれるエリア
にも異人館が約50棟現存している。
こちらは観光地化されていない。

 

今昔物語集の798年(延歴17年)記
には、清水寺の草創(成り立ち)が
記述されている万里の長城や
エッフェル塔と並んで、
「新・世界七不思議」に
も選ばれている。